moptar

導入事例アダストリア様

アダストリアさま

動線情報を活用して店舗ごとの勝ちパターンを作っていく!
~大手アパレル企業による動線分析ツール活用事例~

「一人ひとりの毎日に 『もっと楽しい』選択肢を」をビジョンとして掲げ、グローバルワークやニコアンドを始めとした30以上のブランドを国内外に展開するアダストリア様。店舗のレイアウトを改良していく為に、2021年7月にドットエスティストアららぽーとTOKYO-BAY店、2021年12月になんばCITY店、2022年5月に八戸ピアドゥ店に弊社の動線分析ツール「moptar」をご導入いただきました。今回は、同社で営業を担当されている長島様とDX戦略部でDXを推し進めていらっしゃる梅田様・細見様に、導入の経緯から「moptar」を使った具体的な施策、その効果までも聞いてきました。

リアル店舗での新たな顧客体験を目指して
動線分析ツールを導入

---はじめに、ご担当者様の業務領域とミッションを教えてください。

長島様:
まず事業全体のミッションは、これまでの普通のブランドの店舗とは違った新たな顧客体験、または顧客接点を作ることです。現在は何がより良い顧客体験につながるのか、どんなものが支持されるのかといったことを実験しているフェーズになっています。その中での私の役割は、店舗と連携して商品や売場のレイアウトを改善していくような通常の営業部的な役割に加えて、DX戦略部と連携して我々のミッションを達成するための仕組みづくりを行っていくことになります。

梅田様:
長島が営業サイドである一方で、私と細見はDX戦略部に所属しており、部としてのミッションがアダストリアグループ全体のDX推進でありますので、日々それを進めているという形になります。具体的には商品をどう提供していくかといったことに加えて、店内のデジタルサイネージであったり、来店後のポイント付与であったりと、デジタルな施策を通して新しい顧客体験の創出に貢献できるようにDXを進めています。

---そのミッションを達成するために、どのような戦略を立てているのでしょうか?

長島様:
現在コンセプトとして、「お客さまに楽に楽しんでもらう」ということを掲げています。「楽」という便利さ、機能的な価値を訴求する一方で、便利さだけではなくてファッションやショッピングの楽しさを伝えたいと思い、情緒的な価値についても重要視しています。私たちはファッションやショッピングの楽しさを体験してもらうために「人」の部分に重きを置いていて、最先端の店舗だとスタッフがいなくて画面とかを使いながら機能的に買いものをするというイメージをもたれがちですが、私たちの店舗ではしっかりとスタッフがお客さまの買い物をサポートするということを大切にしています。それとともに、目先の利益も大事ではありますがそれに囚われすぎることなく、またブランドのイメージを棄損しないようにしつつ、新しいチャレンジを次々と行っております。

---そうした戦略の一環で、現在は動線分析ツール「moptar」を活用されているとのことですが、導入の経緯や理由、背景にあった課題について教えてください。

梅田様:
動線分析ツールを導入した一番の理由は、OMO*(注1)の観点でドットエスティストアのECサイトだけでなく、リアル店舗においてももっとお客さまのことを把握しなければならないと感じたからです。新しい顧客体験を提供するためにお客さまが店舗に入ってからどのように商品を購入したか、あるいは購入しなかったのか、そういったお客さまの意見をもっと深堀りする必要があると考えたので、今回この動線分析ツールを導入する運びとなりました。
(注1)OMO*:Online Merges with Offline。ネット(EC)と実店舗の垣根を無くし、消費者の購買意欲を促す施策のこと

売上2,000億円企業による「moptar」採用理由

---導入までにどのような製品を比較し、「moptar」を採用するに至ったか、経緯を教えてください。

梅田様:
よくあるカメラを使ったソリューションについて複数製品を比較検討して「moptar」を採用するに至りました。比較検討するうえで重視していたポイントは「(1)精度・(2)セキュリティ・(3)コスト」の3つになります。複数の製品に対してこの3つのポイントを整理して、総合的に考えたときに「moptar」がベストなソリューションであると判断しました。「moptar」に関してはこの3つのポイントの中でも特に「精度」の部分が突出していたように感じました。

現場の方たちの直感をデータで定量化する

---「moptar」導入後、業務にはどのような変化がありましたか。体制や作業負荷、施策の内容など、「moptar」の活用方法について教えてください。

長島様:
営業としては、これまで直感的に感じていたことがデータで見えたというのが大きな成果だと考えています。特に商品の位置を決めたりマネキンを作ったりする時など、売場作成の部分に大きな影響がありました。例えばマネキンを作るときに、この商品だったらこの組み合わせがいいよねとかいったことについてはなんとなく定性的にしか分からず、施策の評価についても売上だけでしか判断できていなかったのですが、お客さまの立ち寄り回数や見ている時間といった観点でも評価ができるようになりました。

細見様:
私も同じく、「moptar」導入後の変化としては、店長や店舗スタッフがこれまで勘で感じていたことが定量化されたということが一番大きかったと思います。また導入後の施策としては現在、動線データを活用しながらサイネージを変えてみたりとか、ブランドの位置を変えてみたりとか、効果があったものに関してはどんどん取り入れていくといったようなことを行っています。将来的には店舗スタッフなどデータへの知見がない人でも主体的に数値を見てそれを解釈して次の行動に移していったりとPDCAをどんどん回していけるようにしていきたいと考えています。

動線情報を活用してPDCAを回し、確かな効果を実感

---導入後に行ったマーケティング施策で、どんな部分に効果を感じましたか?

細見様:
ららぽーとTOKYO-BAY店において、立ち寄り率と素通り率がコーナーごとにどのような数値になっているかを見て、グループ分けをしながら分析したところ、際立って数字が強い場所や、店内の手前の位置なのにあまり立ち寄ってない場所などがいくつか見つかってきました。そこで、数字が強い商品を手前に持ってきて、これまで手前においていた商品を奥に置いてみたところ、全体で立ち寄り率が向上しました。これがやってみた施策の中では一番わかりやすく効果があがったところになります。

---これらの取り組みによって、実際の売上や数値にどのくらい変化が生じていますか?

長島様:
やはり最終的に一番大事なのは売上だと考えています。どれだけ立ち寄り率が上がったとしても売上に繋がっていなければ意味がない。ただ、先行して「moptar」を導入したららぽーとTOKYO-BAY店の売上は好調に推移しています。もちろん「moptar」以外の要因もあるとは思いますが、やはり「moptar」から出てきたデータをもとにブランドの配置を変えたことが大きく寄与しているのではないかと私たちは考えています。そのことについては、店長を始めとした店舗スタッフも同じ印象をもっていました。

店舗をグルーピングして、
それぞれの勝ちパターンを作っていく

---今後、「moptar」を活用してどのような施策を実施していきたいとお考えですか?「moptar」に期待することを教えてください。

長島様:
今後はロケーション別に検証したいと考えています。ららぽーとTOKYO-BAY店については導入後しばらく経って検証を続けてきた結果、店内のブランドの配置とかマネキンとかサイネージの使い方とかはかなり勝ちパターン化できています。しかし、それが今検証中のなんばCITY店になったときに同じことが起きるとは限りません。ではなんばCITY店とTOKYO-BAY店の明確な違いはというと立地でして、ららぽーとTOKYO-BAYはショッピングセンターの中にあり割と買い物をしに行く場所である一方で、なんばCITYはターミナルの駅の中にあります。他にも、ドットエスティストアが出店している船橋と難波はどちらも都会ですが、じゃあ今後郊外に出店したときに、どうなるんだろうとか。これからいくつかパターンを作っていきたいです。ショッピングセンターで都会だとこういう風になるし、駅ビルで都会だとこうなるし、郊外のショッピングセンターだとこうなるとか。なんばCITY店はまだ導入して間もなくてまだ深くは見られていないので、これからららぽーとTOKYO-BAY店と同じように実験を重ねて言語化して勝ちパターンとしてもちたいですね。「moptar」に今後期待することについては、現場の人も感覚的に「このマネキンみんな見てるじゃん」のように、データを感覚的に理解できるようなUIになるといいなと思っています。

「moptar」の改善ポイントは・・・

---現在、「moptar」に対して感じている課題があれば教えてください。

細見様:
まず前提としてPOSとか来店ポイントと動線が紐づけてもらえるというのはすごく良くて、例えば来店ポイントから会員をたどるとその人の性別とか年代が分かるのですが、性別とか年代のデータが加わるだけで同じ店舗でもまた違ったインサイトが生まれてきます。その一方で課題としては2つ感じていて、1つ目は来店した人全員の属性が取れたらいいなということです。来店した人に対してセンサーで年代や性別といったお客様の属性データが取れたらより適切な施策が打っていけるかなと考えています。2つ目は、店長の方が見る分かりやすさとリアルタイム性があればいいなと思っています。現在は来店ポイントの情報をダッシュボード上でこちらからアップロードしないといけないので、動線以外のデータとも予め連携できているとより高速にPDCAも回していけるのかなと考えています。

梅田様:
ハードの見た目ですね(笑) かなりの数があって、見た目がまがまがしいですよね。僕らが「moptar」を知っているから視線が上に行くというのもあると思いますが。お客様はマネキンとかサイネージとかを見ているので意外と気づいていないと思いつつ、ふと上を見上げるとかなりの数がついているなと感じます。そこは機能面以外での課題かなと思います。ハードが白色になるだけでもかなり変わるんじゃないでしょうか。

---今後、スプリームシステムに期待することは何ですか?

長島様:
営業の立場から言うと、これまでの重複になりますが、店舗スタッフたちが容易にみられるようにしてほしいなと思っています。精度に関してはかなり信頼を置いているので、それに加えて店舗スタッフも進んで使いたいと思ってくれるようなUI設計にしていただければなと期待しています。

梅田様:
iPhoneやタブレットでも操作できたりするようになるとかなり良いと思います。数字だけでは店舗スタッフはやはり見てくれない方も多いので、もう少しビジュアルライクな形になってくれるとすごくいいと思います。

---インタビューを終えて

これまで技術的に非常に難易度の高かった動線追跡という領域にチャレンジし「高い精度」を追求して開発してきました。
精度についてはアダストリア様からもご評価頂けた一方で、今後は取得できたデータをより見やすく、活用して頂きやすいようにプロダクトのさらなる改良・進化を続けていきたいと思っています。
今後、画像認識技術の発展や店舗DX化の流れで多様な顧客データが取れるようになってくると考えており、そういったデータとmoptarの動線データを連携していくことでデータの付加価値を高めていくということにも取り組んでいきたいと思っています。

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